トータルコストと自由に使えるお金

usagitokame

「では、二人にとっておきのアイテムを授けよう。バランスのよい住宅ローンを選ぶための秘密兵器じゃ。」

ソファから立ち上がった先生は、そばに置かれたマガジンラックから一冊抜き取ると、ページをめくりながら話し始めた。

「二人ともスジは悪くない。ただ、おまえたちはまだ、住宅ローン選びに必要な道具を手に入れておらん。それは。計測器じゃ。住宅ローンを正しく評価するには、計測器が欠かせない。正確な計測器を持っていなければ、ものの正しい数値は測れない。正しい数値が測れなければ、自分にぴったりの寸法を見誤まってしまう。誤った寸法のままローンを選んでしまえば一歩間違うと地獄行きじゃ。」先生がおどけて言った。

「逆に言えば、正確な計測器さえあれば、巷の情報誌なんぞがテキトウな煽り文句で書いた記事にも振り回されずに済む。ほれ、このようにな。」

そう言うと先生は、手にした情報誌を開いて二人に見せた。そこには次のような見出しが躍っていた。

<ファイナンシャルプランナー10人が徹底予測!「それでも、金利は上がらない」>

ウサコがクスッとした。それにしても、先生のいう計測器とは一体どのようなものなのだろうか。

「計測器には二つある。まず一つ目の計測器、それは卜-タルコストじゃ。」

「トータルコスト?」カメオの口がポカンとあいた。

「そうトータルコスト。細かい話は後にして、手始めにトータルコストを使って次の二つの住宅ローンの正確な数値を計測してみよう。」

先生は壁に据え付けられた黒板に、何やら書き始めた。

・住宅ローンA : 全期間固定金利2.16% 手数料2.1%
・住宅ローンB : 全期間固定金利2.46% 手数料5万2500円

「さて、どちらのローンがよいかな? この条件で3000万円を35年返済で借りるとして、具体的に考えてみなさい。」

二人はメモ帳の片隅で計算を始めた。

「Aの手数料を計算すると63万円(=3000万円×2.1%)か。」カメオがつぶやいた。

「でも、Bの手数料は5万2500円。60万円近くも手数料に差があるのね。ということは・・・分かった!お得なのは手数料の高いAのほうね」ウサコが自信満々に言い切った。

「わざと高いほうを選んだんだろ。」カメオがウサコをこづいた。

「ホーホッホホ。正解はウサコの言うとおり、トータルコストはAのほうが圧倒的に安い。計算するとこうじゃ」

・住宅ローンA : 元利合計4278万1200円 手数料を含む合計4341万1200円
・住宅ローンB : 元利合計4477万4940円 手数料を含む合計4482万7440円

「Aのほうが140万円以上も安いのか。」差額を計算したカメオが感心した。「でも先生、この合計額ってどうやって計算するんですか?」

先生は手元の計算機を見せた。「住宅ローンの返済額が最終的にいくらになるか、それを計算するには専用の〈金融電卓〉か〈シミュレーター〉を使う必要がある。金融電卓を買ってきて使い方を覚えるのもよいが、最近は住宅ローンを取り扱う金融機関のほとんどがホームページ上で簡単にシミュレートできるページを設けておる。スマホのアプリにもいいものがあるぞ。そういうものを探して確認してもよかろう。」

<続く>

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