住宅ローン選び、7つの教え

usagitokame

朝から歩き通しだったウサギとカメオの二人はバッタン村についた。

バッタン村のスイトンはなによりのご馳走だった。

ウサコとカメオ、そしてバッタン村のクロ兄の三人は、炊き出しを行っている広場で燃えさかる焚火を囲み、熱々のスイトンをすすった。クロ兄はこの村で炊き出しに参加している理由を語り始めた。

「オレはこの村の創設メンバーの1人なんだ。見てのとおり、ここはいわゆるローン難民たちが暮らす村だ。事情はさまざまたが、住宅ローンで失敗し、家を取り上げられ、どこにも行くあてのないヤツらが集まってくる。そういう者たちを保護し、再起を支援するのがこの村の役目だ。ただそうはいっても、本当のところ、住宅ローンってのは失敗してからじゃ遅い。そのための支援もこの村のスタッフが行っている。カラダが弱ったときには、適切な治療を施してやる医者が必要なようなのだ。」

「医者?」ウサコがつぶやいた。「ということは、クロ兄もそんなお医者さんなの?」

「まあ、そんなところだ」

クロ兄は破綻者の列に目を遣りながら残りのスイトンをすすった。

その後話してくれたクロ兄の説明によると、住宅ローンのアドバイスを専門に行う職業は、海外では国家資格として認定されるほど重要な仕事として認められているのだという。

しかし、ウサコやカメオが住んでいる国にはそうした仕事をしている者がいない。だから、被害者が生み出されてしまうのだという。本来専門家がすべき仕事-住宅を購入する際の資金計画や適切な住宅ローンの選択―を、素人が生半可な知識だけで行っている限り、彼らのようなローン破綻者は今後も跡を絶だないだろう。

「ということは、クロ兄に訊けば、どれが最高の住宅ローンか答えを教えてもらえるわけね」ウサコがうれしそうに擦り寄った。

「おいおい、ウサコはこれまで何を勉強してきたんだ? 誰にとっても最高のローンなんて存在しないと教わってきたんじゃないのか?自分にとって最適なローンは、自分の足下をしっかり見つめて、将来の計画と考え併せながら自分で選ぶしかないんだ。アドバイスならいくらでもできるがな、裏話付きで。」

ペロッと舌を出したウサコとは対象的に、カメオはその表情に熱い決意をにじませた。

「ウサコもボクも資金計画は万全です。あと村に帰って自分の力で理想のローンを選ぶだけです。」

「よしっ、その意気だカメオ。では、おまえたちにプレゼントを贈ろう。最高の住宅ローンを選ぶための7ヵ条を教えといてやる。村に戻ったらこの7ヵ条にしたがって、どの金融機関のどのローンを選び、どのような借り方・返し方をしていくか、自分なりに考えてみるんだ。」

クロ兄は立ち上がり二、三度羽ばたくと、炊き出し用のテントを覆っている屋根の上に留まって声を張り上げた。「メモの用意はいいか」

住宅ローン選びの7ヵ条

一つ、リスク管理とコスト管理、どちらを優先するか決めるぺし
二つ、選択肢は多ければ多いほどよい。足りないときは人の手を借りよ
三つ、目先の損得ではなく、トータルコストを確認すべし
四つ、借入金額、借入期間、金利は、毎月の「自由に使えるお金」をチェックしてから決めるべし
五つ、他人を信じるなかれ、己を信じるなかれ、数字は決してウソをつかない
六つ、定点観測でローン完済までのシナリオを読め
七つ、借入時のみならず借入中も金利をチェック。常に家計を最適化せよ

「なんだか難しそうね、意味が分からない言葉もあるわ」ウサコの顔が曇った。

「自由に使えるお金って何だっけ?」カメオがメモ帳を急いでめくり返した。

「分からないことがあれば聞くといい。おまえたちはまだ、資金計測が終わったばかりのひよっこなんだからな。」

そう言うとクロ兄は二人の頭上を大きく旋回し、「じゃあな、いいローンを選べよ」と言い残すやいなや、鈍色の雲に覆われたバッタン村の空高く、そのまま遠くへ飛び去っていった。

ウサコとカメオはだんだん小さくなっていくクロ兄の後姿を見送ると、立ち上がってお尻の砂をはらった。

<続く>

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