団信は必ずしも・・・

usagitokame

ミラー女史のおかげで優遇制度に関する疑問はずいぶんと解消された。カメオがありがとうと言って電話を切ろうとすると、意外にもミラー女史が待ったをかけた。

「せっかく電話してきてくれたんだから、おまけにもう一つ、いいこと教えてアゲル」

カメオはごくりとつばを飲み込んだ。

「ダンシンの話よ」

「ダンシンって、団体信用生命保険のことですか?」

「そう、住宅ローンと同時に契約する生命保険の一種、それが団信ね。おカネを借りた当事者が万一亡くなっても、残された家族が困らないように生命保険で残りのローンを返済する大変ありかたいシステムよ。団信さえかけておけばカメオの家族も安心ってわけ。」

どういう意味ですか!カメオはわざと怒ったふりをしてみせた。

「まあまあ。私が言いたいのは、カメオみたいにフラット35を利用する場合は、必ずしも団信に加入する必要はないということ。フラット35以外のローンだったら、団信の保険料は金融機関が負担してくれるんだけど、フラット35の場合は利用者が負担することになる。だから利用者自身が要・不要を判断すべきなの。それに団信への加入は、ほとんどの金融機関で必須条件になっているけど、ごく一部の金融機関では絶対条件ではないのよ。」

「本当?団信は加入が義務付けられているのかと思っていました。でも、保険には入っていたほうが安心じゃないですか。ボクは入っておきたいな。」

「もちろん加入するのは自由よ。ただ、団信は生命保険なんだから、正しくはすでに加入している保険とのバランスで入る・入らないを決めるのがスジね。たとえば死亡時に1億円が下りる保険に入っている者が住宅ローンで3000万円借りるとして、わざわざ団信に入る意味があると思う?」

「それだったら、入っても意味ないですね」

「でしよ? 丸々1億円が必要な家計なんて、そうあるもんじゃないしね。だから、そういうケースでは団信に加入する必要はないの。加入するとしても、その保険料についてはよくよく検討したほうがいい。」

「保険料を検討するって?」カメオはケータイの受話口に耳を強く押し当て、ミラー女史の言葉を待った。

「たとえばフラット35の場合、団信の保険料は利用者負担だから毎年自分で支払う必要がある。自分で支払うのなら、より安いものがないか、その選択肢を探ってみるべきね。」

「そんなことができるんですか?」

「できるわよ。団信の代替としては『収入保障保険』というのがあるけど、その手の一般の生命保険に入ると保険料が安くなる可能性がある。ただし、団信とまったく同じ内容の保険はつくれないので、メリット・デメリットはしっかり見きわめておく必要があるわね。」

「安くなるって、どれくらいですか?」

「目安でいうと2~3割引きってところかしら。団信の保険料は誰でも同じ額を支払うことになるけど、一般の生命保険の場合、年齢が若い、肥満でない、喫煙していないなどの条件によって保険料も変わるわ。」

「だったら是非検討したいですね。ちなみに、フラット35で毎年支払う保険料って最終的にはどれくらいになるんでしたっけ?」

「3000万円を35年ローンで借りたとしたら200万円くらいかしら。」

「そんなに!じゃあボク、いますぐ団信やめます。」

「フフフッ、まあそう言わないで。必ずしも安くなるとは限らないんだから。」ミラー女史はカメオの単純な発想を笑った。

<続く>

This entry was posted in 未分類. Bookmark the permalink.

Comments are closed.