変動派の悩み、固定派の悩み

usagitokame

「トータルコスト」と「毎月、自由に使えるお金」。シロフク先生に授けられた二つの計測器によって、いまや二人はどのような住宅ローンでも一刀両断のもとに判断を下せる気がしていた。

これを使ってもう一度、目星をつけた住宅ローンをさばいてやろうと湧きあがる思いが、あらためて二人を奮い立たせた。

「そういえばカメオ、きょうは分からないことがあるといって、ここに来たのだったな」シロフク先生が思い出したように言った。

「で、質問は何だった?」

カメオは一瞬自分の質問が何だったか思い出せず、あわててメモ帳をめくり返した。

「そうだ、ものすごく基本的なことでした。以前先生は、住宅ローンは星の数ほどある、とおっしやいました。たしかに、調べれば調べるほどたくさんの住宅ローン商品が出てきます。

ただ、それだけある住宅ローンのなかから、よさそうなローンにアタリをつけるにはどうすればよいのか、そもそもそこが分からないんです。たまたま知らないだけで、もしかしたらすごくいい条件のローンがあるんじゃないかって・・・そう思うとなんだか悔しくて」カメオがこれまでの悩みを訴えた。

「たしかにカメオの言うとおり、あれほど種類があればアタリをつけるのでさえ大変だ。よかろう、では、こんなものはどうじゃ?」

先生は部屋の片隅に置かれているパソコンを操作して、年季の入ったプリンタから何枚かのペーパーを出力した。

「ワシは常々、国中にあふれる住宅ローンの動向をチェックしておる。そのなかからよさそうなローンを選んでいくわけだが、単に金利の安さだけに着目するなら造作もない。たとえば住宅金融普及協会がサイトを提供しているが、そのページに掲載してある情報から安い順にソートすればよいのじゃ」

二人は渡されたリストを見て驚愕した。あれだけ調べたはずなのに、そこにはまったくノーマークだった商品がラインナップされていたからだ。

ウサコは興奮気味に訊いた。「じゃあ、このなかからよさそうなものを選んでいけばいいわけね」

「それは拙速というものじゃ、ウサコ。このリストはあくまで現時点での話じゃ。来月になったらそっくり入れ替わっておるかもしれん。それに住宅ローンは非常に地域性の強い商品だ。北海道の銀行によさそうなローン商品があっても、沖縄では使えない。支店でもあれば別だがな」

二人は手元のリストをなめ回すように何度も眺めた。

「ところで先生」カメオが顔を上げた。「金融機関のなかには、いわゆるネット系の金融機関もありますが、そういうところは、おカネを借りる相手として信用しても大丈夫なのでしょうか。あまり知られていないマイナーなところだと、突然倒産するんじゃないかと心配になるのですが」

先生は顔をしかめた。「それは杞憂というものじゃ。仮に借入先の金融機関が倒産した場合、借り手側に及ぶ被害として考えられるのは二つだ。一つはすぐに一括返済しろと催促される、もう一つは現在よりも悪い条件に変更される。」

「そこです。そこが心配なんです」カメオの不安が一気に広がった。

「まあ、そう心配ばかりするな。借り手が一括返済を要求されるようなことは現実にはあり得ん。どこかの金融機関が潰れそうになれば、たいてい別の金融機関が吸収合併するのがこれまでの常だからな。だが、二つ目の条件変更を求められることはないとは言い切れん。」

ほら、やっぱり。

「ただ、カメオがねらっているフラット35であれば大丈夫じゃ。たとえ借入先の金融機関が潰れても、住宅金融支援機構が潰れても、フラット35の条件は変わらないシステムになっておる。」

「そうなんですか!よかった~。」固定金利派のカメオは不安材料が一掃されたことで、ますます固定金利の方向で計画を進める決意を固めた。

<続く>

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