安いローンと安全なローン(2)

usagitokame

「では、ワシがいま気づいている問題点を一つ挙げよう」

「問題点」という言葉にウサコもカメオも身を堅くした。

「おまえたちは、〈安いローン〉と〈安全なローン〉、どちらがお好みかな?」

すぐさまウサコが答えた。「安いほうがいいわ」

「ボクは安全なほうがいいな」

「ではウサコに聞くが、ウサコの言う。安さとは一体なんじや?現時点では金利の安い変動金利を選んでいるようだが、せっかく購入した素敵な家を差し押さえられるかもしれないリスクを負ってまで追求する安さは、本当に安いと言えるのかな?」

先生が意地悪そうに訊ねた。

「家を差し押さえられていいなんて誰も言ってません。アタシは多少のリスクを取らないと、お得なローンにはかどり着けないと思っているだけです。」ウサコは腹立たしげに答えた。

「では、カメオはどうじや?カメオは安全性を重視したおかげで毎月の返済額が高くなるのは仕方ないと考えているのかな?」

「高くなる金額にもよりますけど・・・」

「もしかすると、トータルで家一軒分くらい高くなるかもしれん。」

もちろんそれは困ります、そう言おうとしたカメオの言葉をさえぎって、ウサコがすくっと立ちヒがった。「先生、その質問は極端すぎます!安すぎるローンも安全すぎるローンも、最終的にはどちらもいいわけがありません。両方のバランスを取るのが、住宅ローンにとって最も大切なことなんじゃないんですか!?」

応接室をしばらく沈黙が覆った。

カメオが目をしばたかせていると、パチパチパチと先生がゆっくり手を叩いた。「そのとおりだ、ウサコ。大切なのはどちらか一方を選ぶことではない。どちらをより重視するか、その優先順位を付けたうえでバランスを取ることじゃ。ワシがさっき問題点といったのは、二人ともそのバランスの取り方、あるいはバランスを取る技術に未熟さが垣間見えたからだ。

それにしてもウサコ、ずいぷんとたくましくなったのお。数目前とは見違えるほどじゃ。」

ウサコはバツが悪そうに何度も頭を下げると、ソファにへたり込むように腰を下ろした。

<続く>

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