繰上返済をしなければ、最悪のケースだけはまぬがれる

usagitokame

「だけど、ミラーさん。教育費は分かるけど、老後の資金は住宅ローンを早めに返済して借入金をゼロにしてから貯め始めても間に合うんじゃないかな」

「たしかにカメオの〈毎月、自由に使えるお金〉を見ると、子どもの教育費と老後資金くらいはなんとかなるでしょう。でも、そこに安住して繰上返済をしてごらんなさい。500万円返済しただけで、すぐにおカネが足りなくなるわよ。それに、子どもが学校を卒業してから、たった10年で貯められる金額なんてたかがしれてるわ」

「じゃあ、やっぱりボクには繰上返済は無理ってことですか」カメオはがっくりと肩を落とした。

「そう悲観しないで。もしカメオが団信に入っていれば、ある日突然亡くなっても団信のおかげて残りのローンはチャラになるでしょ?当然、それまでカメオが貯めた預金は全額家族に残るから奥様は大助かりよ。

でも、繰上返済のためにがんばりすぎて過労死でもしたら、家族に残されるのは繰上返済をしたあとに残ったわずかな貯金だけ。これじゃまさしく死に損もいいところね。

繰上返済をしなければ、最悪のケースだけはまぬがれるんだから、それでいいじゃない。ははは」

カメオは力なく笑い返した。ミラー女史の屈託のない笑い声が、カメオの心になんだか重く響いてきた。

<続く>

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