変動金利で借りている人は、避難マニュアルをつくっていない?

usagitokame

「ただなあ・・・」

「ねえ、クロ兄。今日はなんだか疲れているようだけど。」ウサコが心配そうに気づかった。

「別に疲れているわけじゃねえ。ただ結論から言えば、避難マニュアルというのはウサコが一人でつくれるような代物じゃない。

内容そのものはとてもシンプルだ。まず大前提として『自分が借りたローンの金利を毎月チェックする』、これはいいな。

次に『借り換え候補の対象を絞り込んでおく』→『金利が上昇した際に変更する固定金利の商品と、その水準を決めておく』→『どのような手順で対応するか確認しておく』→『誰が対応するかを決めておく』。

これだけだ。」

「それならアタシにも出来そうだけど。」

「だが実際、金利がどこまで上昇したらどの固定金利に乗り換えるかなんて、事前に決めるだけでも、ウサコが思っているより遥かに高度な分析と検討が必要になる。

地震時の避難マニュアルだってそうだ。多くの者が自宅で寝静まっている深夜と、通勤通学で移動中の者が多い朝方では、被害の状況もその後の対応もまったく異なるだろ?

各分野の専門家が集まり、さまざまな分析を重ねたうえで何とかかたちにまとめている、それが避難マニュアルなんだ。」

「そうか分かった。じゃあ、アタシの避難マニュアルはおカネの専門家である金融機関につくってもらえればいいわけね。」

「うーん、それも難しいだろう。避難マニュアルのつくり込みに対応している金融機関は、現実にはほとんどないと言っていい。おそらく、『金利が上昇したら固定金利に借り換えたらどうですか』とか、『余剰資金があるなら繰上返済で返済額を軽減しましょう』とか、その程度のアドバイスでお茶を濁されるのがオチだ。」

「じゃあ、いま変動金利で借りている人は、避難マニュアルをつくっていないということ?」

「おそらくな。」

「金利が上がったらどうするのかしら?」

「それこそ、大地震に襲われたようにパニックに陥るだろう。」

「避難マニュアルは必要だが自分ではつくれない、専門家に頼んでもつくってもらえない。それじゃぁアタシは、結局、金利上昇のリスクに対して、事前に何の対策も取れないってことなの?」

あらゆる可能性を閉ざされて、ウサコは急に心細くなった。

<続く>

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